大学とかいうものについて

 

もう大学生になっちゃうらしい。怖すぎ。

君たちは大学生活を目前にして、ベッドの上でへにゃへにゃすることしか出来ません。

というのも、まだ入学もしていないというのに、幻想と現実の板挟みになって身動きが取れなくなっています。

幻想。

世の高校生というのは、多かれ少なかれ大学というものに対して、ある種の幻想を抱いています。それは植え付けられた幻想です。

まずは受験産業によって。

そのしょうもない小金稼ぎのために、名門大学に対する信仰をドシドシ植え付けます。君たちの親や君たちの見るテレビと一緒になって、キャンパスライフがどれだけ薔薇色なのかを語り聞かせてきます。

合格おめでとう、次は東大。とかなんとか。小学生中学生のうちから高校をすっ飛ばして、大学に目を向けさせます。

もうみんな、親もテレビも塾も学校もwakatteTVも、大学にばっかり拘っています。すると、純粋無垢だった君たちは大学に一種の幻想を抱いてしまいます。

大学生活がどんなものか全然分からないけど、とにかく楽しくて素晴らしいものに違いない。

そうやって、どんどん未知のものに対する期待が膨らんでいきます。

遥か東には黄金の国があるらしい。遥か南にはあらゆる苦悩を脱して幸せに暮らせる国があるらしい。そんな妄想上の理想郷としての大学像。それは幼い間に植えつけられ、希薄にはなったものの未だに残り香を漂わせています。

 

理想郷としての大学像。

それを更に補強するのは各種創作です。

君たちはオタクなので様々な創作を摂取しています。その中には大学が舞台であるものも少なからずあるでしょう。森見登美彦作品とか。

森見登美彦作品を念頭に置いて喋ります。君たちは森見登美彦作品がめちゃくちゃ好きなので。

夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話大系』。君たちはオタクなのでこれらのアニメを全て観、小説を全て読んでいます。

そういえば『四畳半タイムマシンブルース』を読んでいないことに気付き、君たちはこの後書店に走ります。

さて、これらはいずれも、どうしようもなくカスな京大生がどうしようもなくカスな動機で、ドタバタでスラップスティックでわちゃわちゃで混沌とした騒動を巻き起こす話です。

ここに描かれる大学生活はどうしようもなく自堕落で、誰もが薔薇色のキャンパスライフからかけ離れています。

だからこそ魅力的です。

俗世間の喧騒を離れ、浴衣を着、高下駄を鳴らし、なんかめちゃくちゃ留年したい。君たちはそう思っています。

新興宗教から飛行船をかっぱらい、鴨川デルタのカップルを花火で爆撃し、学祭で追われながらもゲリラ演劇をやり通し、大所帯で酩酊しながら町中を練り歩く。京大中の情報が集まる秘密組織サークルに放置自転車を売り捌くサークル。

これらは君たちが恋い焦がれる大学幻想の結晶です。幻想なのでもちろん実在しません。

そんなことは百も千も承知だと君たちは言います。けれども幻想は持続します。

現実の大学生活はあくまでも人生の直線の上にあって、思った数倍は平坦だと知りながらも、創作物の中に描き出されるような大学生活を夢見ています。君たちは。

一種の二重思考ですね。かわいいね。

これが大学への幻想その1です。

 

大学への幻想その2について。

これは、大学は学問のパラダイスや~~~~って幻想です。

その1が幼いうちに抱いた幻想だとすれば、その2は比較的直近抱き始めた幻想です。

君たちは受験が苦手です。一回大学落ちたのでそれはそう。

高校のときから大学生のような気分で大学生のような振る舞いをしていたので、受験なんてものに迎合出来るはずがなかったんですよね。

実際に君たちは仲良かった高校の数学教師に「君は学問とか研究とかに向いてるから、とにかく受験は耐えて」って言われています。

Twitterにいる院生にも「高校は学問の不自由展だから早く受験終わらせような」なんて言われたことも。

確かにちゃんとした指導者もいない、体系立った学びもできない高校の段階で、どれだけpdfとか本とかを読み漁ろうと限界があったんですよね。一つの分野をひたすら掘り下げられる人間だったら良かったんですが、君たちの場合は興味が一切持続しないので大変です。あっちをペロペロこっちをペロペロ。これを繰り返してはろくに実力も付かず、ただ耳年増になっていくだけです。

用語とか色々聞いたことはあるけど、その内容は全く分からない。ちょっとしたひろゆきですね。

でも大学になったら全部解決、やりたい学問やり放題とりたい授業とり放題らしい。

 

 

 

 

 

別にそんなことなかったね。

というのも、理一の1Sの場合、取れる選択授業は3コマだけらしい。週に15コマが上限で、12コマが必修で埋まっちゃうからと。

2Sは結構取り放題らしいけど、出鼻をくじかれたことには変わりないんですよね。

これが2つ目の幻想。

 

幻想だと自認していた幻想と、入学してみて幻想だと分かった幻想。この二つが頭の中でぽわぽわと浮かんでいて、服に跳ねたケチャップと同じくらいには落ち着かなさをもたらしてくれています。

 

 

 

更に進振りがあるんですよね。身を落ち着けたい分野が軒並み底点85とか83とか。後期教養は人数少ないし、計数とかは皆さんご存知の通りだしで。

元来君たちは点取りゲームが苦手です。一回落ちたことからも分かる通り。それに高校でも試験の点はいい方ではなかったし。

そんな君たちが底点80台の学部を目指す???

数学と中国語で少しアドがあるので無理ではないとは思っています。でも、サークルとかバイトとか趣味に使う時間を削ってまで、点数を気にして興味ある分野の授業を犠牲にしてまで、点取りたいとは思えないんですよね。

なので後期教養行くとか言ってたけどさっぱり諦めます。某御大がやってたように自主留年して授業取りまくるのもいいな。

 

こうやって君たちの将来の話をすると、お先が真っ暗だってことがよく分かります。高等遊民になりたい。俗世間から離れたい。かといってアカデミアは無理。就職とかどうでもいい。というか就職活動が心の底から嫌すぎる。就活するくらいなら、煌々と活躍する友人たちを横目に大人しく餓死してやろうか。

理数でも行くか~~~~~~おわり。